こんにちは!今日は2日ということで、お正月真っただ中ですね。お節にお雑煮、こたつでお菓子をぱくぱく食べながら、漫才を見て大笑い!お正月ってなんて幸せなんでしょうか。と、いうわけで毎年やっちゃう暴飲暴食。お正月が過ぎると、途端に我に返ります。
そういうわけで、今日はサノレックスというお薬の話をしたいと思います。これは、なんの薬かといいますと、なんと食欲抑制剤なんですね。うちの薬局でもたまに処方箋がきます。ダイエットされている方なら、マジンドールの名前でピンとくる方も多いのではないでしょうか。
サノレックスは、テレビなどではあまり取り上げられることはないのですが、インターネット上では結構以前から有名なお薬で、お薬の検索キーワードランキングでもずっと上位にランクインしています。
調剤薬局に処方箋が来るということは、サノレックスが正真正銘、医薬品ということなのですが、食欲が抑制される効果があるという、ダイエットしている方にとっては魔法のようなこのお薬、いったいどのようなものなのでしょうか。
日本で唯一承認された食欲抑制剤?
サノレックスは、2019年現在、厚生労働省が唯一承認している食欲抑制剤で富士フィルムファーマから販売されている医薬品です。ちなみに成分名は、マジンドールで商品名がサノレックスです。
発売は1992年ですので、実は20年以上という実績があるお薬です。
どんな人に処方されるの?
サノレックスは、肥満度が+70%以上又はBMIが35以上の高度肥満症患者に対して、食事療法及び運動療法の補助療法として用いられるお薬です。(富士フィルムファーマ サノレックス添付文書参照)
BMI35以上というのは、なかなか重度の肥満症で、たとえば、身長162㎝の方の場合、BMIが、35という数値になるのは、体重が91.85㎏、170㎝の方で101.2㎏、175㎝の方で107.2㎏、180㎝の方で113.5㎏です。
下記のBMI早見表で赤字になっているところがサノレックスの処方ラインです。
BMI 早見表 | |
---|---|
BMI値 | 判定 |
18.5未満 | 低体重(痩せ型) |
18.5〜25未満 | 普通体重 |
25〜30未満 | 肥満(1度) |
30〜35未満 | 肥満(2度) |
35〜40未満 | 肥満(3度) |
40以上 | 肥満(4度) |
もし、妊婦さんだったら、出産の際に、母子にさまざまなリスクが出る可能性が高まるので、普通の産婦人科ではなく大きな病院での出産を進められることがほとんどだと思います。
オーストラリアやドイツ、アメリカなど諸外国では、これくらいの数値もそれほど珍しくないのかもしれませんが、日本人の体質では、このくらいの体重になるのは逆に容易ではないかもしれません。つまり、普通の人がちょっと痩せたいわといって、処方されるようなお薬ではないということなんですね。
遺伝的な体質や、持病で飲まれているお薬による副作用などによって肥満になってしまったという方などがこれくらいのBMIになっていることも多いです。
実際、うちに薬局に来られた患者さんもBMIが37という重度の肥満症の方で糖尿病と腎臓疾患を患われた方でした。重度の肥満症になると、重篤な疾患を引き起こすリスクが高まりますので、サノレックスによる治療が選択肢に入ってくることがあります。
サノレックスは劇薬?
サノレックスは習慣性医薬品に指定されている劇薬です。劇薬というのは、毒薬に次いで薬理作用の激しいお薬のことを指します。調剤薬局でも通常の医薬品と分けて保管しなくてはいけないお薬です。
服用期間もできる限り短期間が推奨され、最大でも3カ月となっています。
健康保険は適用されるの?
医師の診断の下、処方される場合、サノレックスは保険が適用されます。サノレックス錠0.5mg一錠の薬価は約188.60円ですので、3割の保険を適用すれば、1錠あた約56.4円になります。
サノレックスは通常、分1、1錠(1日1回1錠)で服用するお薬ですので、1日約56.4円、1カ月で1692円ということになります。これは純粋な薬価ですので、これに管理料や調剤料が加算されますが、それでも2000円強と、いったところしょうか。最大処方期間も3カ月と決まっていますので、まるまる3カ月服用しても、1万円はかかりません。医師によっては2錠分2で処方される場合もあります。
巷に氾濫しているダイエット用の高級サプリと比べても、お薬代としては特に高価という印象の価格ではありませんね。
副作用は?効果は?
サノレックスの効果にはもちろん、個人差がありますが、医師の指示の下できちんと服用を行えば、一定の効果は上がるというデータが出ています。サノレックスに含まれる成分が脳に直接作用し食欲を抑制させる働きがあるといわれているからです。また、体の消費エネルギーを促進したり、代謝をよくすることで体重を減らす効果もあるとされています。
ただし、劇薬指定されているお薬ですので、副作用がでる可能性ももちろん無視できません。実際、添付文書には、眼圧を上げる可能性があるため、緑内障の方は忌避となっています。
さらにサノレックスは習慣性医薬品に指定されている医薬品ですので、依存性が強く、長期服用忌避のお薬です。もちろん、子供さん、高齢者、妊婦の方は禁忌ですし、持病のある方が医師の指示なく服用してはいけません。
夢のやせ薬として、オークションなどで転売していることもあるようですが、絶対に医師の指示なく服用してはいけないお薬です。
もし、肥満症でお困りの方は、内科や肥満科を受診し、正規のルートで処方してもらうようにしてください。それが一番、安全で、費用も安く済みます。
サノレックスで痩せられるのか?
これまで見てきたように、サノレックスは体重を落とすために一定の効果があるお薬ですが、継続的に服用できるお薬ではありません。つまり、増えすぎた体重を減らし疾病などのリスクを減らすためにはある程度有効ですが、そのあとその体重をキープするというのは、患者さんにかかっているということになります。
肥満症の原因には生活習慣も深くかかわっていることが多いので、いったん、減量に成功したとしても、太る生活習慣を変えずにいると、また結局、元の体重に戻ってしまいますので、サノレックスで痩せられるのかという問いの答えは、イエスでもありノーでもあるといえます。
ただ、前述のとおり、重度の肥満症は命の危険にもつながりますので、一時的にでも体重を減らすことができるということは、医学的観点から見れば大変メリットのあることだと思います。また、減量に成功することによって、患者さんご本人がダイエットに目覚めて、暴飲暴食を止められたり、運動を始められたりするという可能性もありますので、サノレックスは有効なお薬だといえると思います。
もちろん、できることなら、日ごろから節制してサノレックスを処方されないようなBMIを維持することが重要ですね。
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