大阪では8/4の吉村知事のポビドンヨード液の発言以降、うがい薬が品薄になっています。町のドラッグストアや薬局では、マスクパニックの時のように「うがい薬売り切れました」という張り紙まで張られる始末。
全国的にも品薄状態になっているこのうがい薬は、風邪の予防など一般的なうがいに用いられますが、最も使用されているのは実は歯医者さんなどの口腔医療関係で、抜歯後に患部を化膿させないように消毒用として使用されています。
医薬品を疾患予防として使用することは重要ですが、治療目的で使用することの方がより高い必要性に迫られていることはいうまでもありません。
8/6に大阪府歯科保険医協会が、大阪府知事に対して異例の抗議文を発表したことも品薄状態がかなり深刻な状況にあることを如実に表しているのだと思います。
これまでマスク、体温計、トイレットペーパー、消毒液とコロナショックによる転売騒動が起こってきた中、吉村知事のイソジン発言にこれだけ非難が集まるのは、商品の欠品を引き起こすという問題だけではなく、そもそも科学的なエビデンスが不足した中での見切り発車の発表だったということに尽きると思います。
ずらっと並べたうがい薬はテレビ映えしてしまう
インスタ映えという言葉もありますが、会見の際にテーブルにずらっと並べたうがい薬もインパクトがありすぎてテレビ映えしすぎてしまいました。あれはまさに宣伝効果抜群ですよね。
うがい薬の会社からキックバック貰ってるんちゃうか~と勘繰りされても仕方ない。まあ、大阪府民はそういうところでなく、維新の名を売るためにコロナで宣伝をがんがんやってるんちゃうか?と思っている人も少なくないですが。
例え、本当にエビデンスがあるものでも、在庫をきちんと確保した状態で紹介しなくてはいけないということは、マスクショックでも証明されているのに、まだエビデンスに乏しいものをインパクトを与えて紹介するということは、やっぱり思慮に欠ける行動だったと言わざるを得ないです。
とりあえず、買っとこうか
あ、イソジンあるやん。ほんまに効果あるかわからんけど、とりあえず吉村さんもいってはったし、やらんよりましやろな。ちょっと、一本買っとこう。そうや、娘2人の分と、お母ちゃんの分、あとカラオケの先生にもあげよかな。
よくある大阪のごく普通のおばちゃんの行動ですが、別にこういう方は全然悪ではないです。情報の真偽性を自分で精査するという作業は行っていませんが、吉村知事は大阪では絶大な信頼がありますので、吉村さんがいってはるなら精査など必要ないとなるのは当然のことだといえるでしょう。
イソジン自体は医薬品で薬価は決まっていますので、薬局やドラッグストアでは値段のつり上げもなく、1本あたり350円前後で購入できます。保険を適用すれば、さらに安く手に入ります。
1本買えば結構持ちますし、すぐに腐るものでもない。マスクやトイレットペーパーのこともあるので、見つけたときに買っといた方がいいだろうという感じで店頭、そして市場からイソジンが消えていくというわけです。
そもそもまだ何のエビデンスもない
そもそもイソジンどころか、COVID-19,新型コロナウイルス関連肺炎については、信頼性のある科学的なエビデンスを持った治療法や、予防法はまだほとんど発表されていません。何らかの情報を持っている国や機関もあるかもしれませんが、公に発表されているものは現時点でほぼ皆無で、世界中がこの未知のウイルスと格闘しているのが現状です。
そういう状況ですので、「効くかもしれない、効果があるのかもしれない」という噂に飛びつきやすくなってしまうのは人の性だと思います。
だからこそ、知事は発言を慎重に執り行わなければならなかった。吉村知事は未来の総理大臣候補にも名が上がるほど、注目されているのですから、自身の発言をまるまる鵜呑みにする人たちが大勢いてその人たちの行動が社会を動かしていく可能性があることをもっと意識する必要があったのだと思います。
もちろん、知事の発言を聞いた人たちがもう一度自分の頭で情報を精査するという作業を行う必要があったことは言うまでもありませんが。
救いは医薬品だということ
今回のイソジンショックの唯一の救いは、イソジンが「医薬品」だったということでしょう。医師や薬剤師以外が医薬品を販売することは薬事法違反ですので、法律で罰せられます。
マスクや体温計は医薬品ではなかったので、転売ヤーの思う壺となりましたが、イソジンに関しては、一時的に欠品しても高値で取引されるということは、ほぼないと思います。
マスクの時もそうでしたが、医薬品や医療品は本当にそれを必要としている人の手に届いて欲しいと思います。イソジンのうがい薬は基本的に希釈して使用しますので、一本でもかなり持ちます。コロナはとても怖いですが、一人一人が必要している分だけを購入するよう心がけるだけでも、商品の欠品は防げると思います。毎日不安の続く生活ですが、私自身も常にその気持ちを忘れずに暮らしていこうと思っています。